観葉植物や贈り物の花束として世界各地で広く愛される百合の花言葉をご紹介します。
百合の花言葉は一つではありません。
色によって意味するものが変わってくるのです。
今回はそうした百合の花言葉を色別に記載します。
1.百合全般の花言葉は「純粋」「無垢」「威厳」
最初は百合全般の花言葉、「純粋」と「無垢」「威厳」です。
前者二つはどちらも穢れを知らない、清純なイメージの言葉ですね。
確かに百合の花からは気品や高潔さを感じます。
残る一つである「威厳」の由来は百合の花の咲く姿から来ています。
花びらを大きく広げた堂々たるその姿は、まさしく「威厳」の二文字にふさわしい佇まいです。
これらの花言葉の由来はギリシア神話にあります。
貞節を司る女神であるヘラ、彼女の母乳が零れた場所から百合の花は生まれたと言われています。
またヘラは神々の女王としての側面もあり、威厳を表す王冠を持っています。
これにより百合の花はヘラの象徴でもあります。
また西洋では、聖母マリアに捧げられた花として有名です。
このことから、西洋画では聖母マリアがキリストを身籠ったことを告げられた場面を描いた絵画で、百合の花がともに描かれていることが多いです。
2.白百合の花言葉は「純潔」「尊厳」
次に紹介するのは白い百合の花言葉です。
白百合の花言葉は「純潔」「尊厳」です。
これは西洋東洋問わず、百合と言えば白百合という概念が広く浸透していた事に起因します。
白という色から特に祝い事に好まれ、結婚式で用いられるブーケにもよく使われます。
「純潔」は結婚式にはこれ以上ないくらいふさわしい言葉です。
実はこの「純潔」という花言葉、前述の聖母マリアからつけられたものです。
ローマ教皇が正式に白い百合を聖母マリアの処女性の象徴として描くように、という旨の布達をしたことからキリスト教徒の間ではそれが一般的になりました。
聖母マリアが処女のままキリストを身ごもった=純潔という訳です。
ちなみに、聖母マリアに捧げられた花は白百合の一種マドンナリリーで、今でもカトリック教会では教会に活ける花として多く見られます。
また日本では葬儀の際に用いられることも多いです。
白百合だけの花束は葬儀を連想するため、祝い事での贈り物としては避けた方が無難です。
どうしても白百合を贈りたい場合は白百合だけにせず、他の花も合わせて贈りましょう。
ちなみに一輪の白百合は「死者への手向け」といった意味にもなります。
西洋でも「純潔」「純粋」「威厳」といった言葉を意味します。
白百合に対するイメージは世界共通であることがうかがえますね。
3.黄色の百合の花言葉は「陽気」「偽り」
続いては黄色の百合です。
ポジティブなイメージの「陽気」と、対照的にネガティブなイメージの「偽り」、相反するような言葉が並んでいます。
まずは前者の「陽気」です。
こちらは黄色のイメージそのもので、明るさや活発な様子からつけられた言葉です。
これだけなら卒業や出産、結婚などめでたいことへの贈り物としてふさわしく思えます。
しかしネックとなるのがもう一つの花言葉「偽り」です。
もともと西洋では、黄色は裏切りや、排斥といったあまり良くないイメージの色です。
一説にはキリストを裏切ったユダが黄色い布を纏っていたという話があります。
プレゼントとして贈る場合には、ポジティブな意味であることが分かるメッセージなどを添えること。
海外、特にヨーロッパの人相手には、特別な理由がない限り黄色は避けること。
この二つは心がけましょう。
またはネガティブな意味を逆手にとって「嘘や偽りの無い」といったメッセージを込めるのもありかもしれません。
西洋では「陽気」「偽り」の他に「天にも昇る心地」という意味があります。
これは嬉しいときに使うのが一般的ですが、同時に浮ついた印象を与える二面性のある言葉です。
4.赤い百合の花言葉は「虚栄心」
赤い百合の花言葉である「虚栄心」は見栄を張りたい、自分を大きく見せたいという意味の言葉です。
こちらの由来もキリスト教にあります。
キリストの磔刑の際、多くの花はキリストの死を嘆きうつむきます。
そんな中、百合の花だけは自分の美がキリストの慰めになると思い顔をあげたままです。
しかしキリストに見つめられた百合の花は、自らの考えが思い上がりだと気付き、赤くなってうつむきましたという逸話です。
したがって華やかで目立つ色ですが、贈り物としては控えた方がいいでしょう。
自分への戒めを込めて飾るなどの使い方なら適しています。
どうしても赤い百合を贈りたい場合は、西洋で使われている「優しさ」「暖かさ」といった意味もあります。
赤が持つ本来のイメージ通りのこの言葉なら、贈り物としても十分に役割を果たせるでしょう。
その際には、相手に誤解の無いようにどのような意味を込めたのか、メッセージカードを同封するなどの工夫が必要です。
5.オレンジの百合の花言葉は「華麗」「愉快」「軽率」
続いてはオレンジの百合です。
「華麗」「愉快」は見た目の印象通りですね。
派手さ、活発さを感じさせる色ですから、パーティなど賑やかな場に最適です。
一方「軽率」はヨーロッパでのオレンジに対するイメージです。
安っぽいや幼稚といった意味で使われるので、取り違えられると皮肉めいたものになってしまいます。
もっとも「華麗」で「愉快」な人も見方を変えれば「軽率」に映るというのは納得がいきます。
贈り物としては、黄色の百合と一緒に贈るといいでしょう。
当然色の相性も良く、「愉快」と「陽気」という非常にポジティブな意味になります。
その際には他の色と同様に、込めた意味がしっかりと伝わるように、メッセージなどで工夫をしましょう。
西洋では「憎悪」という意味を持ちます。
これは何かを強く憎むという言葉で、友情や愛情の反対の意味です。
もし、これを知らずに贈ってしまったらと思うと、とても怖いですね。
今回を機に頭の片隅にでも留めておいて、もしも贈る際には細心の注意と相手に誤解を与えないよう最大限の努力を心がけましょう。
6.黒い百合の花言葉は「恋」「呪い」
最後は黒い百合です。
実はこの黒い百合、百合の中で黒いものではなく、クロユリという種類で厳密にはこれまでの百合とは別種となります。
しかしユリ科であることに変わりありません。
クロユリの花言葉はどちらも日本の伝承、伝説が由来とされています。
「愛」はアイヌの伝説が由来で、思いを込めたクロユリを意中の相手の近くにばれないように置き、それを誰が置いたか分からずに手に取ってもらえれば恋が叶う、というものです。
非常にロマンチックなものですね。
一方「呪い」は、佐々成政という戦国大名のエピソードに由来します。
彼には早百合という側室がいました。
その早百合が浮気しているという噂が流れると彼は激怒し早百合を殺めます。
早百合は今際の際に「立山に黒百合咲かば、佐々の家は滅亡しよう」という呪いの言葉を残して息絶えました。
これは実際にあった話です。
これ以降クロユリは人を不幸にする呪いの花になったと言われています。
「愛」は魅力的な花言葉ですが、それ以上に「呪い」が持つ負のイメージが強いです。
よって贈り物としては厳禁です。
そもそも、祝いの場に黒い花を贈ろうと思う人はいないと思いますが注意しましょう。
百合の花言葉を知って活用しよう
百合の花言葉は色によってポジティブな意味だけのものから、二面性を持つもの、ネガティブな意味が多いものと多様です。
プレゼントに用いることが多い花だけに、しっかりと花言葉を理解し、正しい意図が相手に伝わるように、贈る側が十分な工夫することが大切です。