19世紀のフランス貴族が、恋人の美しさを讃える為に生まれた花言葉。
現在では、全ての花々にその意味を持たせるようになりました。
今回は、そんな花言葉の中でも「平和」の意味のある花言葉についてご紹介します。
ケンカをした後や、夫婦の記念日などにこうした平和の花を贈りましょう。
1.平和の象徴 オリーブ
ピクルスやオリーブオイルなど、観賞用よりも食用としての方が有名なオリーブ。
平和の象徴となったきっかけは旧約聖書です。
旧約聖書は、世界の成り立ちの物語である創世記から国々の歴史、戒律、預言書や詩歌をまとめた内容になっており、ユダヤ教やキリスト教の聖典として広く知られています。
ストーリー性がある点などから、「アダムとイブ」や「バベルの塔」など宗教画になっている作品も多いです。
そんな旧約聖書の中のエピソードに、ノアの箱舟というものがあります。
神が人を造り、人が徐々に増えてきた頃のことです。
神が堕落した人々に失望し洪水によって人々を滅ぼすことを決めました。
「神と共に歩んだ正しい人」であるノアに、神は箱舟の建設を命じます。
ノアは建設が終わると、自分の家族と全ての生き物を乗せて40日に及ぶ洪水をしのいだのでした。
40日が過ぎた頃、ノアは洪水で沈んだ世界の様子を探るべく、鴉や鳩を放ったものの停る所がなくすぐに戻ってきます。
その7日後同じように鳩を放すと、鳩はオリーブの葉を咥えて戻ってきたのです。
ノアはその鳩を見て洪水の水が引いた事を悟り、箱舟を出ました。
このように世界が落ち着いた事を知らせたものであるオリーブと鳩は、この話から平和を表す象徴となったのです。
オリーブは花言葉としても「平和」が付けられました。
現在オリーブの葉は、国際連合の旗などに用いられています。
オリーブを平和の象徴と捉えるのは、今や世界共通の認識になりつつあります。
2.花の形から平和を意味するデイジー/雛菊
ヨーロッパ原産のデイジーは、マーガレットと非常に似ています。
日本では、雛菊という名前の方が馴染み深いという方も多いでしょう。
明治時代に日本に入ってきたデイジーは、白や黄色、ピンクなどの花の色が菊に似ている事、2cm~5cmほどの見た目から小さい花の様子から雛菊と呼ばれるようになったのです。
デイジーには様々な花言葉が付けられています。
1番有名な花言葉として、その見た目の可憐さから「純潔」「純新無垢」などが挙げられます。
そのような意味から原産国の1つであるイタリアでは国花に採用されています。
またデイジーの学名である「bellis」は、ラテン語の美しいを意味する「bellus」から来ており、「美しい」という花言葉もあります。
「平和」の花言葉の由来も花の様子から付けられたと言われています。
花の中心が黄色い様子を太陽、周りの花びらを太陽の光に見立てて「day’s eye(光の目)」と呼んだのが語源と伝えられています。
太陽は雲があると隠れてしまう事から、風のない穏やかな状態を「平和」と見なした事で花言葉に付けられたのでしょう。
これには他にも説があり、デイジーの元々の原産国であるヨーロッパの中でも気候の穏やかな地中海側で採れた事にちなみ、平和で温暖な環境で育つ植物だからともされています。
そんなデイジーは、一年草で年間通して枯れずに楽しめます。
12月〜5月と花を楽しめる期間が長い事から、日本では「延命菊」「長命菊」などの和名も付けられています。
花言葉の意味も悪いものではないので、人に贈るのにも良い花と言えるでしょう。
3.平和な世の中を願う花 アラセイトウ
和名は紫羅欄花(アラセイトウ)といい、紫、白、ピンク、黄色、赤などの花を咲かせる多年草の植物です。
日本ではあまり名前を聞き慣れない花なので馴染みのない方も多いですが、西洋では香りの強い花として薔薇や百合、菫などと並び古くから好まれており、ガーデニングの定番となっています。
また花の茎が太く真っ直ぐ伸びることから、英名ではストックと名付けられています。
そんなアラセイトウの花言葉には、ローマ神話の話が元になっています。
ある国のお姫様が隣国の王子様と恋に落ち、結ばれようとしていたのですが、お姫様に好意を寄せる青年の嫉妬で王子様は殺されてしまいます。
最愛の人を失い、悲しむお姫様は王子様の後を追って命を絶つのでした。
そんな健気なお姫様の様子を見た神が、お姫様を花に姿を変えました。
その花というのがアラセイトウです。
これには様々な説があり、こんな説もあります。
昔ある国のお姫様が敵国の王子様と恋に落ちたのですが、父である王様にそれを咎められてお城に幽閉されてしまいました。
王子様に会いたいお姫様は、その思いを止められず、幽閉されている部屋からロープを垂らして会いに行こうとします。
しかしロープで下りようとした時に運悪くロープが切れてしまい、お姫様は死んでしまいました。
これを哀れんだ神がお姫様をアラセイトウにしたという話です。
現代のような平和な世の中であれば、このような悲恋も起こらなかったでしょう。
アラセイトウの花言葉には、そんな願いが込められてるのかもしれません。
4.太陽に平和を願う花 黄色の薔薇
薔薇というとドラマの告白シーンやプロポーズシーンでよく目にする赤い薔薇を思い浮かべる人も多いでしょう。
赤い薔薇は「あなたを愛してます」「美」「熱烈な恋」などの花言葉を持つ、恋愛に欠かせないもってこいの花であると言えます。
また特に薔薇は花の本数で意味が変わる特別な花です。
1本で「一目惚れ」「あなたしかいない」、11本で「最愛」、108本で「結婚してください」。
贈る相手やシチュエーションに合わせて花束を作るのも素敵ですね。
そんな薔薇は赤の他にも様々な色を持ちます。
現在は品種改良によってその種類を2万種まで増やし、青、ピンク、紫、オレンジ、黄緑、白銀など花の色も多種多様に渡ります。
そして花の色によってそれぞれ違う花言葉を持ちます。
今回は、その中でも黄色の薔薇について触れていきます。
本来、黄色の薔薇は自然に存在しません。
幻とも言われた黄色の薔薇は、ある1人の人物による努力の結果この世に生み出されました。
ジョセフ・ペルネ=デュッセ、彼は既存の白薔薇から幾度となく交配を繰り返して黄色の薔薇を生み出しました。
この功績は、彼の死後彼を慕う人々によって「フー・ペルネ=デュッセ」という彼の名前の薔薇が生み出された事にも現れています。
そんな彼の作り出した薔薇の中に、「ソレイユ・ドール」という名の薔薇があります。
ソレイユとはフランス語で「太陽」という意味です。
そこから、変わらず存在する太陽に平和を願って、花言葉にされたと考えられています。
また、黄色の花言葉には他にも様々なものがあります。
赤い薔薇が恋愛向きだったのに対して「嫉妬」「恋に飽きた」「薄らぐ愛情」などが付けられており、恋愛には不向きと言えます。
イエス・キリストを裏切ったユダが着ていた服が黄色だった為、薔薇に限らず西洋で黄色の花の花言葉にはネガティブなものが多いのです。
黄色の薔薇の場合「友情」や「可憐」などポジティブな花言葉もありますが、プレゼントする場合贈る相手に注意が必要です。
花言葉で「平和」を意味する花を知ろう
ここまで平和の花言葉を持つ植物についてご紹介しました。
その由来は創世記の伝説や神話、花の様子から花の成り立ちまで様々あります。
オリーブやデイジー、アラセイトウは鉢植えで育てられる物です。
平和が当たり前の現代ですが、平和に思いを馳せて育ててみるのも良いでしょう。