何かにすがりたい、誰かに対して助けを求めたい。
そんな、心の弱っているあなたに寄り添い気持ちを代弁してくれる、優しい花々があります。
今回は、花言葉で「助けて」を意味する花をご紹介します。
1.「私を助けて」を意味する花 チグリジア
チグリジアは、メキシコやグアテマラなどが原産の、個性的な模様を持つ花です。
一目見れば、その特徴ある虎柄の模様に心を奪われることでしょう。
その見た目から、別名を「タイガーリリー」とも言います。
そんなインパクトのあるチグリジアの花言葉が「私を助けて」であることに、意外性を感じる人も多いかもしれません。
しかし、目立つ見た目をしているということは、それだけ人の目を惹きたいという意思の表れです。
個性的なチグリジアのように、いろいろな人から注目されようと必死になって、自分をアピールしている人は多いです。
「私を助けて」という花言葉は、チグリジアの派手な見た目の裏に隠された心理を表しているように見受けられます。
また、チグリジアには「私を愛して」という花言葉もあります。
「私を助けて」と同じように、相手の心を何とかして自分へ向かせようともがいている、そんなイメージです。
異性や恋人、もしくは友人、家族に対する「助けて」もしくは「愛して」の言葉は、とてもダイレクトに心へ突き刺さります。
だからこそ、正面切ってはなかなか言えない言葉です。
チグリジアは、そんな人の欲求に寄り添う、優しい花言葉を持っています。
2.祈りと助けを意味する花 サンダーソニア
サンダーソニアの花言葉は「祈り」です。
「私を助けて」と祈る切ない思いが込められています。
なぜ、サンダーソニアが「助けて」と祈る花言葉を持つことになったかというと、一人の入植者の物語に行きつきます。
1851年、南アフリカの入植者であるジョン・サンダーソンが、黄色いベルの形をしたかわいらしい花を発見します。
それはまさしくクリスマスのベルのようだったため、そのまま「クリスマス・ベル」と呼ばれたり、提灯のようなユリという意味の「チャイニーズ・ランタン・リリー」と呼ばれたりしました。
それがサンダーソニアです。
サンダーソニアには、入植者であったサンダーソンの、祖国を思い慕う「祈り」が込められていると言います。
祖国から遠く離れた場所で、サンダーソンは孤独を感じ、誰かに助けてもらいたいと願っていたはずです。
サンダーソニアは、そんな彼の祈りに寄り添った花です。
黄色く可憐なサンダーソニアは、頭を垂れて祈るような見た目をしています。
その慎ましやかな「祈り」の花弁は、「私を助けて」と嘆く人々の心を癒してくれるでしょう。
3.信じて待ち続ける花 紫のアネモネ
紫のアネモネの花言葉は、「あなたを信じて待つ」です。
誰か一人の人に恋い焦がれて助けを求めたくても、その人は遠い場所へ旅立ってしまいました。
愛しているから、他の人のことは考えられない。
他ならぬその人に自分のことを助けてもらいたい。
だから、愛する人を信じて待ちつづける。
そんな切ない気持ちを、紫のアネモネは表しています。
アネモネ全般の花言葉も同じように、「はかない恋」や「見捨てられた」というネガティブな意味を持っています。
これらの由来は、アネモネに関する悲しい神話がもとになっています。
愛と美を司る女神・アフロディーテが、息子のキューピッドと遊んでいたところ、キューピッドの射た矢がアフロディーテに当たってしまいます。
その瞬間、アフロディーテは目の前にいた少年・アドニスに恋をしてしまいます。
アフロディーテは恋心を燃やし続けていましたが、そんな折、アドニスは狩りでイノシシに襲われ、命を落としてしまいます。
嘆き悲しんだアフロディーテは、アドニスの体から流れ出た血から花を咲かせます。
それがアネモネの花です。
アフロディーテのように一途に誰かを恋し、助けを求める気持ちが、アネモネの花言葉の由来です。
4.別れやなぐさめの花 ミヤコワスレ
ミヤコワスレは、「しばしのなぐさめ」「別れ」など、悲しい花言葉を持っています。
悲痛に助けを求めるこれらの花言葉の由来は、鎌倉時代の順徳天皇の逸話に由来します。
承久の乱で敗れた順徳天皇は、佐渡島へ流罪を言い渡されます。
佐渡で孤独な日々を送っていた順徳天皇は、誰かの助けを一心に望んでいたことでしょう。
そんな彼の前に、ミヤコワスレの花が咲きます。
白くかわいらしい花々を咲かせるミヤコワスレの姿に、順徳天皇はしばしの間、都への思いを忘れられたと言います。
これがミヤコワスレの名前と、花言葉の由来です。
ミヤコワスレの可憐な姿は、たしかに見る者の心を癒してくれます。
順徳天皇のような失意の中にあっても、「私を助けて」という悲願は一時忘れ去られるのです。
厳密にいえば、ミヤコワスレは「助けて」という花言葉ではありません。
しかし、ミヤコワスレの花言葉は「しばしのなぐさめ」であり、「永遠のなぐさめ」ではありません。
ミヤコワスレの花がもたらす癒しの効果もいずれは消滅します。
そのとき、私たちは再び「助けて」という嘆きに苛まれることでしょう。
そのため、あえてミヤコワスレを「助けて」を意味する花としてご紹介しました。
5.呪いからの助けを請う花 クロユリ
クロユリは、一目見たら忘れられない、非常に独特な見た目をしています。
黒々を染まった大きな花弁が堂々と咲き誇っているさまは、一種の威厳すら感じ取れます。
そのクロユリの花言葉は、「呪い」です。
この恐ろしい花言葉は、ある日本の伝説がもとになっています。
時は戦国時代。
武将・佐々成政には美しい早百合という側室がいました。
しかしこの早百合にあるうわさが流れます。
彼女が成政に隠れて他の男性と通じ、お腹の中に子供を宿した、といううわさです。
怒髪天を衝いた成政は、早百合を激情のままに殺してしまいます。
殺される間際、早百合は「助けて」と叫ぶと同時に呪いの言葉も口にしました。
「立山にクロユリの花が咲いた時が、佐々家の滅亡する時だ」と。
これが、「黒百合伝説」と呼ばれるクロユリの花言葉の由来です。
早百合の言葉通り、佐々成政はそのあと、クロユリの咲くころにお家断絶となったと言います。
早百合の呪いは、成政に対する「助けて」の思いを聞き入れてもらえなかった瞬間に芽生えたといっても過言ではありません。
相手に対する愛情と憎しみとがないまぜになった、そんな「助けて」を、クロユリは表しているように思われます。
6.愛の助けを欲する花 黄色いスイセン
黄色いスイセンの花言葉は、「もう一度愛して」「私のもとへ帰ってきて」という、切ない恋心を表しています。
愛した人に再び助けてもらいたい、という悲しみを意味する黄色いスイセンですが、この花言葉の由来は、有名なギリシャ神話が由来とされています。
それはこんな話です。
森の精霊・ニンフは、一人の絶世の美少年ナルキッソスに恋い焦がれます。
しかし彼は冷たい態度で突き放します。
屈辱に苛まれたニンフは恋の苦しみから逃れられず、肉体を無くし、声だけの存在になり果ててしまいました。
その惨状をみた女神・ネメシスはナルキッソスに呪いをかけます。
それは、水面に映る自分の姿に恋をしてしまう呪いでした。
ナルキッソスは自分自身の美貌に恋をしますが、水面に反射する彼の姿と、思いを通じ合うことができません。
絶望に打ちひしがれ死んでしまった彼の体は、スイセンに生まれ変わります。
そのためスイセンは、水面をのぞき込むようにうつむいて咲いているそうです。
両者とも、望みのない恋を前にして「助けて」と何度叫んだことでしょう。
神話に思いをはせると、スイセンを見る目が少し変わるような気がしてきます。
花言葉で「助けて」を意味する花を知ろう
「助けて」を意味する花を6つご紹介しました。
花言葉として「助けて」を意味する花は厳密にはチグリジアのみですが、助けを求める意味合いの強い花は他にもあります。
切ない花言葉に思いをはせながら、これらの花々を飾ってみましょう。