5.呪いからの助けを請う花 クロユリ
クロユリは、一目見たら忘れられない、非常に独特な見た目をしています。
黒々を染まった大きな花弁が堂々と咲き誇っているさまは、一種の威厳すら感じ取れます。
そのクロユリの花言葉は、「呪い」です。
この恐ろしい花言葉は、ある日本の伝説がもとになっています。
時は戦国時代。
武将・佐々成政には美しい早百合という側室がいました。
しかしこの早百合にあるうわさが流れます。
彼女が成政に隠れて他の男性と通じ、お腹の中に子供を宿した、といううわさです。
怒髪天を衝いた成政は、早百合を激情のままに殺してしまいます。
殺される間際、早百合は「助けて」と叫ぶと同時に呪いの言葉も口にしました。
「立山にクロユリの花が咲いた時が、佐々家の滅亡する時だ」と。
これが、「黒百合伝説」と呼ばれるクロユリの花言葉の由来です。
早百合の言葉通り、佐々成政はそのあと、クロユリの咲くころにお家断絶となったと言います。
早百合の呪いは、成政に対する「助けて」の思いを聞き入れてもらえなかった瞬間に芽生えたといっても過言ではありません。
相手に対する愛情と憎しみとがないまぜになった、そんな「助けて」を、クロユリは表しているように思われます。