日本人の生活に親しみ深い水仙。
その凛とした立ち姿と上品な香りは、たくさんの人から愛されていますよね。
私たちの日常のすぐそばにある水仙は、いったいどのような花言葉を持っているのでしょうか。
今回は「水仙が持つ花言葉」についてご紹介します。
1.水仙の花言葉は、「自己愛」「うぬぼれ」
水仙全体が持っている花言葉は「自己愛」「うぬぼれ」です。
上品で控えめなイメージのある水仙の花言葉が「自己愛」と「うぬぼれ」だなんて、少しびっくりしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は水仙の学名は「ナルキッソス」と言います。
これは現在でもつかわれている「ナルシシズム」や「ナルシスト」の語源だとも言われています。
ナルシストというのは、自己愛主義者のことを指します。
もともとナルキッソスというのは、ギリシャ神話に登場する美しい少年の名前でした。
ナルキッソスはとても美しい少年でしたが、冷たい心を持っていました。
ある日、エーコーという名前の森の妖精が、ナルキッソスに恋をしました。
しかし、ナルキッソスはエーコーの気持ちを考えず、些細なことでエーコーを侮辱し見捨てたのでした。
エーコーはショックのあまり、姿がなくなってしまいます。
そして声だけの存在となってしまったエーコーは、木霊になったのです。
これを見ていた神ネメシスは、罰としてナルキッソスに呪いをかけました。
それはナルキッソスが自分だけした愛せなくなってしまうという呪いだったのです。
ネメシスから呼び寄せられたナルキッソスは、そのまま泉の方へ歩いていきます。
そして水を飲もうと泉に近づきます。
すると泉の水面にとても美しい少年が映っていたのです。
それはもちろんナルキッソス本人だったのですが、呪いをかけられたナルキッソスは水面に映った自分の姿に恋をしてしまったのです。
そのまま泉から離れる事が出来なくなってしまったナルキッソスは、やせ細って死んでしまいます。
他にも水面に映った自分にキスをしようとして、誤って泉に落ち水死してしまったという説もあります。
ナルキッソスが死んだあと、泉のほとりにはひとつの美しい花が咲いたそうです。
それが、私たちがよく知っている水仙だったのです。
そういった由来により水仙には「自己愛」「うぬぼれ」という花言葉があります。
2.黄色の水仙の花言葉は「私のもとへ帰って」「もう一度私を愛して欲しい」
水仙には色によって違った花言葉があります。
まず、もっともよく見かける黄色い水仙の花言葉をご紹介します。
黄色い水仙の花言葉は「私のもとへ帰って」「もう一度私を愛して欲しい」というものです。
黄色い水仙に込められた花言葉には想い人への強い感情が感じられますね。
まず、「私のもとへ帰って」というのは、「私のもとへ帰って来てほしい」ということです。
黄色い水仙の花言葉には、自分のもとからいなくなってしまった相手への強い愛情や執着が込められているのです。
また、黄色い水仙には「もう一度私を愛して欲しい」というよりストレートな花言葉もあります。
些細なことで恋しい人に侮辱され、その上捨てられてしまった森の妖精エーコー。
もしかすると、ナルシッソスの化身である水仙には、彼に捨てられてしまった森の妖精エーコーの想いが込められているのかもしれません。
現実世界でもナルシッソスのような男性に恋をした女性は、森の妖精エーコーと同じように心を悩ませることが少なくありませんよね。
もしもそういった男性を愛し、なにかのきっかけでその男性が自分のもとを去ってしまっような場合には、黄色い水仙を手元に置きたくなるかもしれません。
3.白色の水仙の花言葉は「神秘」「尊敬」
白色の水仙には今まで紹介してきた花言葉とはうってかわって、まったく違ったイメージの花言葉があります。
それは「神秘」と「尊敬」です。
水仙の姿かたちは、思わず見とれてしまうほどとても美しいものです。
その水仙の花が、さらに白色だった場合には、美しさに荘厳さが加わり、この世のものとは思えないような魅力をたたえます。
そういった白い水仙だけがもつこの世のものとは思えない美しさが由来となり、白い水仙には「神秘」という花言葉があるのかもしれません。
また、神秘的なものはおうおうにして多くの人から拝み奉られる対象にもなります。
そういった崇拝の対象をイメージさせる白い水仙は、多くの人から敬われる存在をも彷彿とさせるのでしょう。
こいったことから、白い水仙には「尊敬」という花言葉もあります。
4.ラッパ水仙の花言葉は「尊敬」「報われぬ恋」
水仙にはさまざまな種類がありますが、種類ごとにも花言葉が存在するのをご存知でしょうか?
ここからは水仙の種類によって異なっている花言葉をご紹介します。
まず、水仙の中でももっともよく知られているのが、「ラッパ水仙」です。
ラッパ水仙の多くは、白い花びらの中央にオレンジ色の部分があるとい花姿をしています。
そんなラッパ水仙にこめられている花言葉は、「尊敬」と「報われぬ恋」です。
先ほどご紹介したように「尊敬」は、白い水仙が持っている花言葉でもありました。
ラッパ水仙の花びら部分も同じように真っ白なので、その荘厳さが「尊敬」という花言葉につながっているのだと考えられます。
また、ラッパ水仙は「報われぬ恋」という花言葉ももっています。
これはまさしく、ナルシッソスに恋をした森の妖精エーコーを象徴しているものでしょう。
ナルシッソスは、とても美しい男性でしたので、エーコーのほかにもさまざまな女性や男性の心を奪っていきました。
けれど、ナルシッソスが愛することができるのは自分だけ…。
もしも誰かがナルシッソスに恋をしたとしても、その恋は絶対に報われることがないのです。
とても切ない花言葉ですね。
5.黄色いラッパ水仙の花言葉は、「心遣い」「あなたを待つ」「自尊」
黄色いラッパ水仙は、黄色い花びらの真ん中にオレンジ色のアクセントがある花姿をしています。
オーソドックスなラッパ水仙よりも、少しだけ元気が出るような花色ですよね。
そんな黄色いラッパ水仙の花言葉は、「心遣い」「あなたを待つ」「自尊」です。
黄色いラッパ水仙には、「心遣い」という少し優しいイメージの花言葉があります。
そのため贈り物にも良いかもしれませんね。
ただし黄色いラッパ水仙には「あなたを待つ」という花言葉もあります。
そのため別れた恋人などに黄色いラッパ水仙をプレゼントしてしまうと、未練がましく思われてしまう危険性がありますので注意しましょう。
けれど、これから長い旅に出るという人や、海外へ留学をする人などへはすばらしいメッセージとなるはずです。
そういった方には「あなたを待つ」という花言葉を持った黄色いラッパ水仙を贈ってあげてください。
また、黄色いラッパ水仙には、「自尊」という花言葉もあります。
自尊とは簡単に言ってしまうと、プライドのことです。
ある程度の自尊心やプライドは大切ですが、こちらもあまり良い意味にはならない場合が多いので、要注意です。
6.口紅水仙の花言葉は、「素敵な装い」「詩人の心」
口紅水仙には、「素敵な装い」「詩人の心」という少し変わった花言葉があります。
口紅水仙はラッパ水仙にとても似たかたちをしていますが、実はちょっと変わった特徴があります。
それは、花の真ん中にあるオレンジ色の部分の端が、まるで口紅をひいたような赤い線にふちどられているということです。
そのため、口紅水仙はまるでラッパ水仙がお化粧をしているように見えるのです。
こういったおしゃれで個性的な花姿が、この2つの花言葉を生んだと考えられています。
水仙の花言葉を知ろう
水仙の花言葉の裏側には、ナルキッソスの悲しい伝説が関係していることがわかったと思います。
この花言葉を知っていると、いつもの水仙がまた違ったものに見えてきそうですね。